がん相談ノート

がん患者さんの相談を日々受けている記録と呟き

「不安だから診察してほしい」と具体的に伝えてみよう

患者さんについて

山田なおこさん。30代。ステージ4期のがん。

抗がん剤治療を4クールしたところでがんが縮小し3週間前に根治手術を受ける。

明日から抗がん剤治療再開。

がん罹患後に不安感が強いために精神科受診中。

 

相談内容

手術した傷が日に日に痛くなる。

3日前に手術をした病院にTelをしたところ看護師より「痛み止めを飲むように」いわれるが、痛みが増しているような気がする。

1日中引きつった痛みもあり前かがみでないと過ごせず痛みで夜も眠れないがこんなものなのだろうか。

 

 支援内容

山田さんから経緯を伺い「がんで手術をした後はみなさんこんなに痛いものなのでしょうか」と質問を受ける。

患者さんは得てしてそうだが「時系列におきたこと」を語るのはうまいが、本当に相談したいことや悩みの内容を時系列で判断をしてはいけない。

明日抗がん剤治療再開で病院での診察時に聞けば済むであろう話を前日に相談をしてくるということは「明日まで待てない何か」があるのかもしれない。

患者さんの相談に携わる私たちは「非医療者」である場合もある(私は非医療者)。

私には「痛み」の原因に関して「いい」も「悪い」も判断できない。

 

まずは山田さんのお話を徹底的に聞いて情報を集める。

そこから交通整理がはじまる。

私「山田さん、痛みが日々増すのはお辛いですね」

山「そうなんです。どうなっちゃうのかと・・・」

私「この痛みは大丈夫な痛みかどうか確認しないと不安ですよね」

山「はい、明日抗がん剤を打ったら耐えられない痛みになるんじゃと不安です」

私「痛みの原因が、開腹をしたことでの一時的な痛みなのか、癒着や化膿などしていないか確認しないと不安ですよね。医師に大丈夫な痛みなのか、何らかの処置が必要なのか確認してもらえるといいですね。」

山「そうなんです、でも看護師は痛み止めを飲んでおけばいいといったので私の我がままなのかと・・・」。

私「なるほど、山田さんは手術をして退院するときに痛み止めは貰いましたか?」

山「いいえ」

私「電話に出た看護師は医師に確認しているようでしたか?」

山「いえ、その日は手術日だったようで医師がいないといわれました。」

私「それで痛み止めを飲むようにと」

山「はい」

私「痛み止めといっても処方されていないわけですから何を飲んでいいかわかりませんよね」

山「はい」

私「医師に確認して具体的にどうしたらいいか話して欲しかったですね」

山「そうですね」

私「薬局で買える痛み止めといってもイブやノーシン、バファリンロキソニンボルタレンとたくさんありますし、処方される痛み止めもカロナールやブルフェンなどさまざまです。患者さんに痛み止めだけの指示は少し残念ですね。」

山「はい、結局何を飲んでいいのかわからずに我慢しました。」

私「それはお辛かったですね」

山「はい」

 

交通整理

いま、山田さんは

  • 痛みが日々増していることに不安
  • 痛みの原因が手術の傷の普通の痛みなのか、トラブルが起きていないか不安
  • 医師に相談したいが相談してよいのか不安

なのだと拝察しました。

 

でも私たち相談を受けている人間には医療的な対応はできないのでとして下記の対応策をお話しました。

  1. 痛みが「いつ」「どんなとき」「どのあたりが痛いか」を書き出す作業を電話対応で一緒にしたうえで持っていく。
  2. 病院に「明日診察ではあるが、痛みが強く眠れず不安が強いために受診したい」旨を連絡する。
  3. 先日の看護師の対応についてメモを医師に渡す。手術で対応できないといわれたこと、痛み止めを飲むようにいわれたが具体的な薬品の指示はなかったことなどで不安を覚えたこと、医師に確認をする、薬剤師に確認をし患者さんが既往(不安が強いために精神安定剤など)で飲んでいる薬剤との飲み合わせなど確認するなどして欲しかったことをきちんとメモに書いて渡す。
  4. 親御さんに病院についてきてもらい「家族が見ていても痛みが酷い」こと「家族も不安であった」ことを伝えてもらう。

最語に山田さんに

  • 「痛みがある」と伝えるだけでは「手術をしたのだから当然」と医療者にはあまり重く受け止めてもらえない場合もあること。
  • 本当は病院に電話するだけでも患者さんには勇気が必要でそれだけ「不安」があるから電話をしているのだけど、医療者には「察する」ことが難しい場合もあること。
  • 即時に「どうしてほしい」のかその場でいえない場合もある。その場合は電話をかけなおしても伝えることをしてみてもいいかもしれない。(今回であれば不安が強くなっているので問題がないか受診して確認してもらいたいということを具体的に伝える)

とお伝えしました。

 

つぶやきとまとめ

正直、患者さんが即時に医療者に対し具体的に伝えるのは無理です。

でもがんはいのちに関わる病気ですし、もしも今回の痛みも腸閉塞などであれば大変な問題になります。

だからこそちょっと強気に病院に電話してもらえるといいなと思いました。

パワーハラスメントしろというわけじゃありません。)

痛み止めの件も、何を飲めばいいのか、飲み合わせも含めて誰に確認してもらったのか、看護師の名前は誰なのかとかも聞けるようになってもらえるといいかもしれません。

(飲みあわせを確認したのか、あなたの名前は?と確認されたらたいがいの人は「自分の発言に責任があること」を感じていい加減なことはいえなくなります。)

今回、この痛み止めの件についてもメモをもっていくことで医師が看護師の指示等が問題行動と思えば「誰がその対応をしたのかなど確認をするかもしれない」と思いあえて口頭ではなく紙ベースでお願いしました。